Column No26「共通言語化のすゝめ」

日本語は難しい。話す相手や内容により、敬語や尊敬語、丁寧語を使い分けねばならない。なんの気なしに普段使用している言葉でも、標準語だと思っていたものが方言だったり、和製英語だったりする場合もある。故、当方は硬い文章や人前で話すことが大嫌いである。

今から十数年ほど前、(公社)日本臨床工学技士会の手術業務関連の委嘱委員をしていた際、業務指針改定の話しがあり参加することになった。その際、ある方から「なるべく共通言語で記載して下さい」と言われたことがある。当方的には意味が解らず、しばし固まった。また違う案件で、看護師も同席するワークショップを開催する際、「共通言語化に気を付けて」と。共通言語?標準語のこと? 前者の正解は、「なるべく公用語での文章」を指しており、後者は「職種が違うのでCEしか解らない言葉は控える」とのことでした。
「共通言語」ですら「共通」でない…
やはり日本語は難しい。

最近もコロナ禍で、さまざまな普段は使用しない言葉を目にした。コロナ「禍?」…予期していなかった災難や不幸を巻き起こす原因、厄などを意味する言葉のようだが、恥ずかしながら初めて当方は知った。また同様に、ウィズコロナ・アフターコロナ・ポストコロナなど、あまり普段は使わない言葉も多く、意味合いを調べるところから始めるのだが、使用している方により意味合いが違う場合もあり余計に混乱してしまうことも。
当該職種では、医療機器管理の一環として、他職種に対し教育をする場面も多い。新規導入時や新人研修、定期講習等々、さまざまな場面で講師役としてCEが頑張ってくれている。その際、上手く相手に伝わってなく感じる場合は、概ね話す側の自己満足で話し相手に伝えようとする気持ちが弱い場合や、他職種には通じない言葉である場合が多いと感じる。

また、医療現場ではリスクマネジメントやリスクヘッジを行う上でも、さまざまな共通言語化やシステム化が求められている。よくあるリスク要因でも、口頭だけのやり取りや略語・略した単位など、スタッフ間での伝達エラーも多い。当該職種でもマニュアル化や手順化を行うが、皆が理解し正しく使えないと意味をなさない。

コミュニケーション能力には三つの種類があると言われており、「伝える能力」、「受け取る能力」、「非言語コミュニケーション能力」とのこと。前の二つには共通言語化も必要そうだが…非言語?これも始めて聞いた際は、「表情」とか「声のトーン」くらいしか想像できなかったが、「文脈」や「背景」なども重要なようだ。

近年、さまざまな言葉が新たに生まれており、特にIT関連やビジネス用語はとめどない広がりを見せている。CEは、医療機器メーカーと医療従事者の橋渡しや、他職種連携でのチーム医療を担っており、意思疎通の機会は非常に多い。なるべく共通言語化を意識し、医療事故の低減は基より、現場の効率化や業務の質向上を目指したい。

ただ…やはり日本語は難しい。

監事 高山 亨

 

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