Column No47 『新設された看護職員処遇改善評価料ってなに!?』

2021年の岸田政権の発足を主な契機として、地域でコロナ医療など一定の役割を担う医療機関における看護職の賃金引き上げの議論が中医協等で行われてきました。2022年8月上旬に引き上げ方法の方向性が概ね固まり、2022年10月以降、看護職員を対象に賃金を3%程度(月額平均12,000円相当)引き上げるための処遇改善を、診療報酬の枠組み(看護職員処遇改善評価料)を通して支援することになりました。対象となる施設数は、病院の1/3程度と言われています。実質的に給与に反映される金額は、看護師(1万円)その他職種(5千円)程度になります。

対象となる施設は?(施設基準)

・救急医療管理加算に係る届出を行っている保険医療機関で救急搬送件数が年間200件以上であること

・救命救急センター、高度救命センター又は小に救命救急センターを設置している保険医療機関であること

それでは、看護職員以外の職種はどうでしょうか?

看護職員以外については、当該医療機関の実情に応じて、次の職種について賃金改善措置の対象者に加えても良いとされています:看護補助者、理学療法士、作業療法士、及びコメディカルである職員(視能訓練士、言語聴覚士、義肢装具士、歯科衛生士、歯科技工士、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士、 管理栄養士、栄養士、 精神保健福祉士、社会福祉士、介護福祉士、保育士、救急救命士)上記職種に薬剤師が含まれていないことにお気づきの方もいらっしゃるかも知れません。中央社会保険医療協議会(中医協)でも人材確保の観点から薬剤師を含めるべきだという意見が出ていましたが、今回の変更において薬剤師は含まないということで決着しています。

もともと、看護協会の強いプッシュにより令和4年2月から9月までの間、3千円程度「看護職員等処遇改善事業補助金」事業が実施されていました。この事業を開始すると聞きつけた、他職種も「看護師以外でもコロナ医療に貢献しているのにおかしい!」と猛プッシュしました。その結果、補助金の名目が「看護職員」から「看護職員」に変わりました。しかし、当初は臨床工学技士という職種の記載が無かったことを知った連盟が議連に働きかけ臨床工学技士も対象に加えることができました。理事長が田村憲久元厚生労働大臣と対談を行った際に、「臨床工学技士も対象ですよね!?」と、しつこく念を押したシーンが思い出されます。以前なら、事業の開始を知りながら何も出来ず指を咥えて残念がるしか有りませんでしたが、長年の連盟活動が実を結んだといって良いでしょう。

ところが、このお話には続きがあります。令和4年9月5日に厚生労働省保険局医療課から出された看護職員処遇改善評価料の取扱いに関する疑義解釈資料によると、問5 区分番号「A500」看護職員処遇改善評価料において、看護職員等(保健師、助産師、看護師及び准看護師)以外の職種を賃金の改善措置の対象に加える場合、当該職種の職員についても、「看護職員等の数」に計上して良いか。という問いに対して明確に「不可」となっています。等という文言が加えられたのに、数に計上できない矛盾が生じていると言わざるを得ません。某医療機関では実際に看護職を含め医療技術職も一律で、実質昇給となる手当が支給されているそうですが、看護職員以外の財源は各医療機関のいわゆる持ち出しとなっているとのことです。

お金を稼ぐのは簡単ではありません。評価の土俵に乗るだけでも数年、評価していただくのに数年、実際の昇給につながるまでに数年かかるのです。会費を払ってもインセンティブが無いから連盟には協力できない。などと言いわないでみんなの力で協力し、じっくりと熟成するまで辛抱して結果につなげて行きましょう。「ひとりでは無理でも、みんなならできる!」。今一度連盟のスローガンを思い出し、一致団結のしてみんなでハッピーをつかみましょう!

近畿ブロック理事 三井友成

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