~『独裁国家の登場は、民衆が根本的に、自主的な思考とそれに伴う責任よりも、命令と従属とそれに伴う責任免除の方を好むという、歴史上の顕著な例証である。民主政治においての失政は不適格な為政者を選んだ民衆自身の失政だが、専制政治においてはそうではない。民衆は自己反省より、気楽かつ無責任な為政者の悪口を言える境遇を好むものだ。』
冒頭から小難しい文章で始まりましたが、これはある有名なスペースオペラ小説の1節です。
そして、『それは権力と暴力の祝福されざる結婚だった。そして、その間に恐怖政治という名の乳児が産まれ、ごく短期間に巨大に成長して人類社会を飲み込んだ。』と綴られていきます。
さて、何が言いたいのかというと、人間とは得てして楽な道を選びがちであり、独裁体制に安易に屈してしまうことを示しています。つまり、人は自分で考えることを放棄し、他人に責任を押し付けようとする傾向があるということです。
民主主義社会において、私たちは様々な権利を享受していますが、その権利には必ず責任が伴います。例えば、社会保障制度は、私たちが税金を納めるという義務を果たすことで成り立っています。権利を行使することは、単に自分の利益を求めるだけでなく、社会の一員としての責任を果たすことを意味します。
しかし、現代社会では、権利ばかりが強調され、責任が軽視される傾向が見られます。政治への無関心や、職業団体への不参加などは、その典型的な例です。「政治家は信用できない」と不満を漏らしても、選挙に行かず、政治に関わろうとしない限り、状況は何も変わりません。
冒頭で出てきたフレーズがありましたね、『民主政治においての失政は不適格な為政者を選んだ民衆自身の失政』、信用できない政治を産み出しているとしたら、それは他ならないあなた自身ということを忘れないで下さい。
職業団体への参加も同様です。団体活動に参加することは、単に自分の専門性を高めるだけでなく、社会全体の課題解決に貢献することになります。団体を通じて、政策提言を行ったり、他の会員と意見交換を行ったりすることで、より良い社会の実現に貢献することができます。
もし、連盟や政治に対して信用できないと感じたのであれば、安全な場所からの主張(我儘や横暴になります)はやめて、積極的な関わりを持ち、自分の意見を表明すること、可能であればより中枢で活躍することが重要です。
権利を行使するための思考と行動、自ら責任を負う覚悟が民主主権の本質なのですから。
日本臨床工学技士連盟 事務局長 宮本 直