Column No.60 『 困難な問題を抱える女性への支援に関する法律 』

困難な問題を抱える女性への支援に関する法律

~啓発の力で社会を動かし、未来を守る~

 令和6年4月1日、「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」(女性支援新法)が施行されました。この法律は、性暴力、家庭内暴力(DV)、貧困、社会的孤立などの課題に直面する女性を包括的に支援する体制を構築するものです。この法整備は、女性支援の現場で活動する多くの団体が課題を訴え続けた結果であり、啓発活動の重要性を示しています。

啓発で社会を動かす重要性

女性支援新法の成立は、多くの団体が課題を訴え続けた成果であり、こうした啓発活動が社会全体の認識を変え、立法につながった事例は、CE業界にとっても示唆的です。医療現場で活動するCEも、日々の業務を通じて気づいた課題を団体として発信し、具体的な提言を行う必要があります。

診療報酬の獲得、職場環境の改善、職域の拡大などは、個々の努力だけではなく、団体のまとまりと訴える力によって実現されます。他職種や他業界の団体が積極的に訴えを行っている中で、CEがそれを行わないのは明らかに不利益を被る行動です。団体としての啓発の力を信じ、行動を起こしていきましょう。

新たな法律と団体としての訴えの力

新しい法律が制定される背景には、現場の課題を具体的に訴え、社会や政策に影響を与える団体の存在が不可欠です。女性支援新法も、長年にわたり複数の団体が声を上げてきた結果として成立しました。啓発活動が社会全体の認識を変え、法改正や新たな施策に繋がったのです。このことは、私たちCE業界にも大きな示唆を与えます。

CEとして、日々の業務を通じて気づいた課題を団体として発信し、具体的な提言を行う必要があります。

法律の進展と残された課題

女性支援新法は、困難な状況にある女性を包括的に守る重要な一歩です。しかし、その一方で、男性が直面する課題への支援体制は依然として不十分です。男性のDV被害や性暴力被害も増加している現状においても、相談窓口や支援の仕組みはまだ整備されていません。

一方で、男性にとって「女性支援新法なんて自分には関係ない」と思うことは、大きな落とし穴となり得ます。新しい法律がどのような影響を及ぼすかを知らず、他団体の動きを見逃していれば、思いもよらない不利益を受ける可能性があります。情報収集を怠らず、法律や制度が社会全体にどのように作用しているのかを把握することが、結果的に自身や所属する業界を守ることにつながるのです。

CEとして未来を守る行動を

CEが現場で気づいた課題を団体として共有し、社会に向けて提言を行うことは、業界の発展にとって不可欠です。それは、CE自身の職域を守るだけでなく、医療の質を高め、患者や社会にとって最善を追求する行動でもあります。

声を上げなければ、課題は放置され、変化に取り残されるだけです。啓発の力を信じ、団体として社会を動かし、CEの未来を切り開いていきましょう。

column_No60

日本臨床工学技士連盟 関東甲信越ブロック 理事 山田遥香