Column No.74 『政治活動のすゝめ ~ 岡山県技士会&連盟としての活動〜』

「政治活動」という言葉は、普段あまり馴染みがないかもしれません。しかし、医療職に限らず、さまざまな業種で政治活動が行われていることは、報道などで耳にされているかと思います。最近ではコメ価格の高騰をめぐり「農水族議員が…」といった報道が多く見られました。どうしてもニュースになるのは問題が起きたケースが中心で、「政治活動=悪いこと」という印象を持ちやすいですよね。では本当に、政治活動は国民にとって悪影響しかないのでしょうか?
そもそも「政治活動=悪」なのでしょうか。

連盟のホームページには、次のような記載があります。臨床工学技士の資格は国家資格であり、その業務範囲や待遇を改善するには法律の改正が必要である。つまり、それらを実現するためには、国会を通じた政治的な働きかけが不可欠である、と。確かに医療は日々進化しており、業務内容を見直したり拡大したりしなければ、CEは取り残されてしまいます。新しい医療に対応できなくなれば、将来的に仕事が減り、資格そのものの存続さえ危うくなる可能性もあります。

さらに、より良い医療制度を築くには、医療法や施設基準の改定も必要です。そのためには立法府や行政機関の長(大臣)である政治家への働きかけが欠かせません。医師会や看護協会、病院団体など多くの職能団体が政治活動を行っているのも、「国民(患者)のために、より良い医療を提供したい」という思いに他なりません

では、政治活動は連盟だけが行っているのでしょうか。公職選挙法では「政治活動」と「選挙運動」が区別されており、選挙運動については技士会として対応するのは難しい部分があります。この点については、肥田理事長が連盟HPで詳しく説明されていますので割愛しますが

(笑)、実際には技士会(職能団体)としても、大臣や議員、関係省庁へのアプローチを「政治活動」として行っています。

連盟が設立されてからは、日臨工とともに「自民党予算税制政策懇談会」に招かれ、「予算・税制に関する要望書」の提出や説明を行うことができるようになりました。また、2018年からは「臨床工学技士を支援する議員連盟(議連)」も発足し、総会の場では議員・行政・日臨工・連盟が一堂に会し、CEからの要望を直接伝えることが可能になっています。

では、このような活動は中央レベル(日臨工や連盟)だけのものでしょうか。実際には、他の医療職では各都道府県単位で政治連盟が立ち上げられ、国政だけでなく地方議会への働きかけも行われています。残念ながら、CEはまだ組織力が弱く、会員数も少ないため十分とは言えません。しかし、すでに福岡県のように先行して連盟を立ち上げている地域もあります。

また、政治活動は技士会としても可能であり、選挙運動も連盟会員あるいは個人としてであれば参加できます。私の所属する岡山県技士会でも政治活動を始めており、議連メンバーの議員集会への参加や、県医師会への挨拶などを通じて関係づくりに努めています。昨年末からは、県医師会や県医師連盟から声をかけていただく機会も増え、後援会会議や選対会議、集会や講演会への参加など、活動が実を結びつつあると感じています。

さらに、先日の参議院選挙では、全国区だけでなく選挙区の候補にも連盟から推薦状を渡し、街頭演説の手伝いや運転手など、より踏み込んだ関わりも行いました。(小野会長、西江連盟担当を筆頭に大変感謝しています!)当選決定時には、事務所での万歳三唱にも一緒に参加し、その様子は報道でも流れたそうです(笑)。

政治活動はCEのためだけでなく、進化する医療に制度を合わせ、結果的に国民(患者)のためにより良い医療を実現するために欠かせないものです。決して「悪」ではないはずです!(苦笑)

日本臨床工学技士連盟 監事 髙山 享