Column No22「無駄なことは何一つ無い」

全世界が新型コロナウイルスの驚異にさらされた2020年今なお混乱が続く中でも社会全体が前に進まなければなりません。私達(臨床工学技士)が進む道(みらい)とは何(難)でしょうか?

私が見聞きし、たとえにする言葉で「いわゆる、ダーウィンの進化論」があります。有名なフレーズに「生き残れるものは変化に対応できる生き物だ」がよく聞きますが、実はこれはダーウィンが実際に言った言葉でなく、1960年代に米国の経営学者レオン・メギンソンが独自に解釈して論文中に記した言葉で、本来多様性でかつ現在の環境下では生存率の向上にあまり貢献していない“今は役に立たない”遺伝的変異を多くもつことであり、常に変化する環境に適応し易い生物の性質とは、非効率で無駄が多いこととのことです。

私の動物進化の持論は、「変化ではなく淘汰の歴史」だと考えています。たとえば、生息するアフリカ象はほぼ「牙の短い」象のみだそうです。それは、牙の長い象は人類によって乱獲された結果、牙の短い遺伝子をもつ象のみが、現在生き残ったとのことです。これまでの地球の歴史をみても天変地異で生き残った生物はその変動に対応できる遺伝子(例えば、寒さに極端に強いとか、飢餓に強い、病気に対抗できる等)をもった生物のみが、後生に子孫を残せ、対応できたのだと思います。つまり、進化とは名ばかりで実際には種の淘汰の歴史と考えています。言い換えると強みを生かす(+αをもつ)のが生存の大前提との考えです。個人も集団としても「無駄な強み」が結果として種の存続を左右するのだと思っています「芸は身を助ける」とはまさに当てはまる言葉ではないでしょうか?

私自身も難病患者として10年活動してきました。その中で会を組織して「指定難病」を受け、現在は治療薬や診断薬が保険収載される様活動をしています。これらの活動は臨床業務と全く関係がありませんでしたが、厚生労働省の課長に直接の相談や各政治家に陳情などをしてゆくうちに、それらが結果として経験や人脈が臨床工学技士の活躍の場を広げ、全体の活動に繋がってゆくとは夢にも思いませんでした。当然その反対側からの作用もあり助かった部分も多くあります。(第28回日本臨床工学会、及び(公社)日本臨床工学技士会総会開催当時の加藤大臣(現官房長官)に講演いただいたことは、その後の厚生労働省内に非常に影響がありました)一見全くちがった事をしているようでも、結果的にそれらが複雑に絡み合い良い結果を生むのは相互に作用されているのではないかと考えています。

では話を戻し「私達が進む道(みらい)」とは専門性をもちつつ、色々な事にチャレンジを続けることでは無いでしょうか?チェレンジすることは仕事だけとは限りません。趣味でも資格でも社会貢献でもなんでも良いと思います。一見全く関係ないと思える回り道が実は最も近道だったなんで事はいくらでもあります。一番良くないのは「動かない」・「面倒くさい」と思うこと・「止める」「現状維持」だと思います。誤解があるとすれば、次の準備のために「留まる」ことはあると思います。動いている、動く準備をしている限り「みらい」は開けてきます。それには「回り道」もと思えることも必要で、「回り道」が実はそれが一番の近道とまることが多々あります。だからこそ、私は「無駄な事などない」と思うのです。

皆さんも、無駄と思えることでも、チャレンジして幅を広げて行きましょう。

副理事長 小林剛志

 

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