年頭所感2019

あけましておめでとうございます。改めて初春のお慶びを申し上げます。

国際的には北朝鮮問題に歴史的な動きがあったものの進展には至らず、挑発的な行為が差控えられているだけマシな状況と言えるのか、どんな関係でも相手が居ると両者が思い通りの見解に落ち着くのは相当な困難を要するようです。昨年末に勃発した米中貿易戦争の潮流は、世界の覇権国の争いや情報を盗む行為の抑制と言う目的だけでなく、テクノロジーの進化によるグローバリズムが過剰な進行を及ぼし、長い間積み上げてきた各国の歴史と文化、地域交流などを壊しかねない空気を感じた警戒感の現われとも言われています。欧州各国でも英国のブレグジットや独国の難民問題なども同様で、異国文化や異国思想の流入とうまく融合することが出来ない嫌悪感からこのような流れになっていると分析される論説もあります。一方、本邦では入管法が改正され今後外国人の受入れが拡大することが予想されています。この背景にはまたしても少子高齢化と人口減があり、拡大する社会保障費を補うための経済活動を支えるために、外国人の労働力に頼らざるを得ない事情があり、島国日本として育てられた独特の個性と価値観を持った国民性の転換期となる可能性があります。

また、昨年ほど実生活にテクノロジーの進化を肌で感じた年は、過去に無かったのではないでしょうか?仮想通貨流出問題に始まり、LINE-PAYやPAY-PAYなど紙幣を用いない金品のやり取りが目立ちようになりましたし、新年早々ZOZOTOWNの100名100万円プレゼントの話題は世間を驚かせました。自動化やAIという言葉を耳にしない日は少なく、珍しく高視聴率を獲得した「下町ロケット」も、日本人好みの懐かしい雰囲気を演出しつつも、内容は農業の自動化という現代のトレンドを捉えた内容となっていました。この先の未来は予測不可能ですが、間違いなく我々自身が刻んでいくものでもあります。日々を流されるままに過ごすのではなく、ある程度未来を予測してそのための準備を整える必要があります。「ボーっと生きてんじゃねぇよ!」というチコちゃんのフレーズは、昨年の流行語大賞にノミネートされました。勤勉で忠実な日本人は規則をしっかり守るまじめな国民性がある一方で、能動的に自ら規則を創り出す行動には控えめな気がします。未来を自ら積極的に創造する行動を、即ち政治への参加を僭越ながら願う次第です。

2018年は当連盟にとっても大きな前進を遂げた年になりました。5月24日に設立された「臨床工学技士の資質向上を求める議員連盟」は歴史的な出来事であり、それに先立つ5月21日には自見はなこ参議院議員より、国会で初めて臨床工学技士について質問と答弁が行われました。議連設立総会の翌日より神奈川県で開催された日本臨床工学会では、初の厚生労働大臣の招請が実現しましたし、11月には厚生労働省、文部科学省、人事院を交えて、役員の国会議員の先生方と議連役員会が開かれました。臨床工学技士に関わる様々な諸問題と要望を、行政と立法を司る先生方に直接お伝えする機会が実現したことは、実に喜ばしいことです。さらに昨年後半には働き方改革に伴う医師のタスクシフト(業務移管)について、臨床工学技士の名称が多方面から散見されるようになり、日臨工でもタスクシフト委員会を創設し、性急な対応を行うとともに各団体や組織に働きかけを行いました。その成果もあって厚生労働省開催中の「医師の働き方改革に関する検討会」においても多職種連携の一員として、臨床工学技士が取り上げられるようになっています。

2013年の連盟創設から昨年までの会員数の推移を図に示します。

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連盟の会員数は日臨工会員数に比し数%台と未だに低迷しており、あらゆる策を講じて会員数の増加を試みておりますが、決め手とはならず役員一同、手詰まりを感じているところです。ある程度活動の結果が見え始めているだけに、周囲の支援が乏しいのは残念な限りです。端的に数は意思を現します。臨床工学技士の未来に対する総意がこの数であると言われて反論する術がありません。一部の人間が矢面に立って熱く訴えても、総意が付いてこなければ絶対に結果も付いてきません。

 反面、昨年は各ブロックで国会議員を招いたイベントが企画されました。また、国会議員主催のセミナーに多数の参加者を動員することができました。

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多くの方々にご支援を頂くとともに、会員の意識も少しずつ変化してきていると感じられ、我々の意欲向上のビタミン剤となっています。本年は統一地方選挙、参議院選挙が重なる12年に一度の亥年です。差し当たり年度の節目となる4月前後には、全国で総会などのイベントが開催されると思いますので、行事予定をご連絡いただきイベントの企画をご相談できればと思っています。

 連盟創設以来一貫してお伝えしていることは、30年の節目を迎え臨床工学技士も転換期を迎えているということです。生活環境や社会情勢、テクノロジーの進化など想像を超える速さで世の中が変化しています。加えて昨年末の入管法(出入国管理及び難民認定法)成立は記憶に新しいですが、グローバリズムの台頭が、強烈な勢いで我々の実生活に押し寄せています。秋には消費税の引き上げも予定されています。これら一つ一つはすべて身近な日常に変化を及ぼす政策です。臨床工学技士に目を向けると先に述べた医師の働き方改革に伴うタスクシフティングは、今年より5年計画で進められ2024年から実施の予定です。周術期管理や在宅医療など幅広く医師の業務負担軽減に、臨床工学技士がお手伝いできる可能性を秘めています。その根幹となる臨床工学技士の教育改革(コアカリキュラム)の改変は来年度に予定されています。これには他業界より遅れを取っていると言われる、サイバーセキュリティー対策について組み込まれる可能性があります。

 2019年は臨床工学技士リニューアル元年。これらすべて総意で臨めばそのように変化しますし、そうでなければ現状維持のまま、いや現状維持は衰退を意味します。「打ち上げ花火で終わらせない。」議連創設の後に掲げた言葉をもう一度思い返し、成長に向けたベクトルを加速させていきたいと考えておりますので、何卒、総意を持ってご支援とご協力をお願い申し上げます。最後に皆様にとって、今年1年が過去最高に有意義な1年となりますよう心より祈念しております。