Column No24「キッカケ」

かなり昔の話しをすると、幼稚園の頃は消防士になりたかった。あの赤い正装を着用したいというただ単純な願望だった。人を救助し助ける姿を当時アナログテレビ映像越しだったが、戦士に見えた。それがなぜ、臨床工学技士という仕事に繋がったかキッカケがあった。それは、自分の中ではいつまでも生きていると思っていた人が亡くなってからである。

幼少〜学生になる度に年齢を重ねる度に周りの親しい人が亡くなっていく。大好きな祖母も救いたいと思った時には遅かった。こんな悲しい思いを二度としたくない。自分の手で何とかしたい、治したい。正直医師になりたいと思い、防衛医科大なども頭によぎった。

2つ目のキッカケは、ゲーム機やパソコン、ファミコンからスーパーファミコン、プレイステーションなどの時代である。外部接続はインターネットに繋がりかけの時代でドラえもん世代?祖母が入院している処で、輸液ポンプ等医療機器を見かけることがあった。それら医療機器に残る蓄積されたデータを個々に見合う治療方針を患者様にテイラーメイドし、医療デザインする環境さえ整えば治療や働き方が変わり、治療の質が変わるように思え、臨床工学技士が魅力的に思えた。

更には、地元医師からの後押しがあった。それが3つ目のキッカケ。「先見すれば臨床工学技士は、非常に魅力的だよ」と。今現在でも脳裏に焼き付いて離れない。体がゾクゾク?ワクワクしていた。私のこれらはごく一部のキッカケですが、皆様にも多種多様のキッカケはあるのではないか?と思います。

最初の5年間は、ガムシャラに働いた循環器や呼吸器・心カテ・ペースメーカー・ICU・透析・機器保守管理目の前の患者様を知るため、救いたいため、臨床工学技士を知るため、ただガムシャラに。自分自身の時間も削り。

ある時…ふと我に返った。救いたい思いは、当たっている。何かが違う…。やり方が。

効率良く、医療機器を操作し治療に専念向上させたい。それと臨床工学技士の資格が、出来た当初の環境とは全く異なり、現在は、スマートホーム化などが当たり前の時代に突入してきて、例えばスマートスピーカーで連携するIFTTT、インターネット介し遠隔操作&監視の機器同士が人間の介在無しに連携するM2M、製造におけるIOTなどもある。

私自身も人生時間を無駄なく効率的に過ごしたいため、自宅の全てをスマートホーム化し、今や趣味にもなっている。自分のライフスタイルに合わせたプラットフォームを構築すれば、人によって内容は異なるがより良い生活も望める時代になってきた。例えば全家電製品の遠隔操作や監視、手動のほか自動で先読みし、玄関に近づいたら、カーテンの開閉や掃除など、何でもやりたいことを自動的にやってくれたり、調理なども年々進化を遂げている。これにより効率の良い時間が出来、余った時間を有効活用出来る。日常的なスマートホーム等を応用し新しい事を取り入れ、より良い医療が出来ないものかと模索している。

しかし、ここにも法律が絡んで中々進まない日本の現状もある。まず、住宅ではwifiスマートスイッチを取り入れようと思っていても海外のようにはいかない。安全面を考慮してなのか、日本では法律上マイナス配線のみで入/切をしているので、例外を除きプラス配線はスイッチ内部に通常存在致しない。また、海外でのスマートホームリモコン等の送信は433MHz帯が主流で、日本で一般使用すると電波法違反になります。これらは安全面を考慮してだと思われる。

これらの流れ(キッカケやタイミング)で言えることはどの分野でもより良いモノを作るために時代は常に進んでいて、止めることは出来ないのであれば、止めるのに時間を掛けるより、推進する方向に時間を費やした方が、効率が良いのでは?と個人的に思う次第です。

近畿ブロック 理事補佐 阿部 靖弘

 

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