Column No32 『伝える(伝わる)ことの難しさ』

一生懸命理解しようと頑張ってくれているのに、それでも教える(伝える)側の意図が理解できないということは、聞き手のせいではなく、教える(伝え)方が悪いんです。

実は私、長らく管理職という立場で部門を任され、人を使って仕事しておりますが、未だ人に物事を教える(伝える)ことに対し、とても苦手意識を持っています…。いい歳こいたおっさんが恥ずかしい限りです。なのに、自分の考えや学んだことを、教え(伝え)たいという気持ちは強く持っているつもりです。しかし、気の短い性格だからなのか、捻くれているからなのか、教え(伝え)る相手の知識水準を過度に期待してしまい、理解されるまで時間がかかってしまうと、「勉強不足!」と一蹴し、横着して教え(伝え)方が雑になってしまいます。つまり「伝えたい」という気持ちと、「面倒くさい」という相反する感情を常に抱いていることになります。

そもそも、相手に物事を教え(伝え)る目的は、教え(伝え)る相手の知識水準の「現状」と「目標(欲求)」の差を埋めるということ。そのために、教え(伝え)る側がすべきことは、現状の知識水準の「把握」と、相手の欲求や知識水準から見た目標レベルの「検討」となる。教え(伝え)ることの本質は、学習(獲得・参加・変化)の手助けであり、相手に物事を伝え理解してもらうのであれば、当然、相手本位にならないといけない。相手の技量(水準)に合わせて、次に教えるべきことは、現状の水準より1段階上であって、いきなり2段階や3段階も上のことを説明しても、それを理解できる前提となる知識が不足しているため、教え(伝え)る側も、教え(伝え)らる相手も、満足いく結果が得られないのは明白です。重要なことは、相手がその事(知識)を、いよいよ知りたい状況、つまり上の水準を理解できる最低限の知識を得て、さらにその先を知りたいという欲求があるという前提に立たなければなりません。相手の全く理解できないレベルの話を一生懸命説明しても、相手はより五里霧中になるだけです。さわりくらいは解っているけど、その先のモヤモヤしている部分を分かりやすく言語化して説明して欲しいなぁ…と思っているわけです。

日本臨床工学技士連盟は、創設から8年が経過し、暗中模索日々を乗り越え、議員連盟が創設され、国会や厚生労働省などで審議のテーブルに載るようになり、法改正など様々なことが見直されるなど、ようやく活動が日の目を見るようになったと思っております。私は途中からお手伝いに入った新参者ではありますが、「すごいじゃん連盟!」と自賛しております。しかし、会員数は伸び悩んでおります…。なぜなのか?

  • 活動に対する結果が見えていない?
  • 政治活動=選挙活動には協力しかねる?
  • 某党の腰巾着と思われている?
  • 政治資金パーティだなんてものに無駄金を使ってる?

こういった誤解されたイメージをお持ちの方が、少なからずいることは承知しております。誤ったイメージを持たれるのは、わからない(伝わってない)から批判(否定)的になっているのかもしれないですし、人々に伝わって(拡散されて)いくうちにイメージが捻じ曲げられてしまっている可能性もありますね。臨床工学技士とは言っても、幅広い年代層や経験年数の方もいますし、現役のみならず臨床工学技士を目指されている学生さんや、すでに勇退され悠々自適な毎日を過ごされている方もいます。また個々人で思想や価値観が違うことも忘れてはいけません。連盟は、こうした方々の個々の特性に合わせて、わかりやすく伝える活動を考えていかなくてはならないと思っています。

大切なのは「自分が何を言ったか」よりも「相手にどう伝わったか」ということです。

最初に話は戻りますが、短気で横着な私は、教え(伝え)る相手に思わず、「何でできない(解らない)の?」って言っちゃうことがあります。そんな私(相手)のような輩には、「お前、教えるの下手くそだな!他を当たるわ!」とハッキリ言ってやってください。これって、連盟や日臨工(技士会)にも当てはまることかもしれませんけどね(苦笑)

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