Column No43 『4つ目の台座』

この度、北海道・東北ブロック理事をさせていただきます、宮城県の引地 誠と申します。どうぞ宜しくお願い致します。

 

会員の皆様には、日頃より「日本臨床工学技士連盟」の活動に、ご理解、ご協力いただき誠にありがとうございます。天下分け目のターニングポイントであった「参議院選挙」も無事にクリアすることができました。自見先生をはじめ、議連の先生方にはここからの6年間、私たちの思いを国政に届けてほしいと願うところであります。

 

さて、皆さんの中には、国会議事堂を見学された方もいらっしゃると思います。だいぶ昔の方もいるかもしれませんね。(笑)

国会議事堂は昭和11年(1936年)11月に竣工し、当時日本で一番高い建物だったそうです。中央広間は、議事堂の一番高い中央塔の真下にあり、議会政治の基礎を作るために功労のあった板垣退助、大隈重信、伊藤博文の銅像があります。これは、昭和13年(1938年)に大日本帝国憲法発布50周年を記念して作られました。板垣退助は明治の初めに国会の開設を求め自由民権運動を起こし、日本で最初の政党である自由党の党首を務めました。大隈重信は日本で最初の政党内閣の総理大臣で、立憲改進党の党首とし議会政治確立のため活動しました。伊藤博文は日本で最初の内閣総理大臣であり、初代の貴族院議長です。大日本帝国憲法の起草の中心的役割を果たしました。

ところで、4つ目の台座には銅像がありません。これは、4人目を人選できず将来に持ち越されたといわれています。また、「政治に完成はない、未来の象徴」という意味もあるといわれています。我が国の議会制度の整備に尽力した3人は、今も議事堂の中で国会を見守ってるといえます。そして4つ目の台座に立つのは、選挙などを通して政治に参加してより良い社会を作り上げていくことのできる、権利と義務を持つ 『私たち一人一人』 なのかもしれません。

(参議院HPトップ > 国会体験・見学 > 国会議事堂案内 > 中央広間 に写真が掲載されています。)

 

この記事を書いているときは、新型コロナウイルス流行第7波の真っただ中。過去最多が毎日のように更新されています。

~ We will meet again. ~

「私たちは再び会います。」 これは2020年4月、エリザベス女王がロックダウン中の英国の人々に向けて行ったスピーチの最後の言葉です。第二次世界大戦中に英国で流行した歌 「We’ll Meet Again」 をもじった文言だそうで、この言葉に涙した国民が大勢いたそうです。

 

京都大学元総長の山極先生によると、人間は視覚と聴覚を使って人と会話すると脳で「つながった」と錯覚するらしいのですが、それだけでは信頼関係は築けないとのこと。なぜなら人は五感のすべてを使って他者を信頼するような生き物なのだそうで、『嗅覚』 『味覚』 『触覚』 といった本来共有できない感覚が鍵になるそうです。相手の匂い、一緒に食べる食事の味、触れる肌の感覚、こうしたものが他者との関係を築く上で重要なのだそう。人間はまだ身体的なつながりを必要としているらしいのです。オンライン上での「つながり」は「会う」こととは違う。それを本能的に知っているから英国の人たちは女王のスピーチに感涙したのでしょう。

 

ここ最近は多くのWebセミナーが行われています。でも、やはり会場での発表や質疑応答のライブ感は良いものです。

人々が自由に移動できるようになり、また私たちが再び「会う」ことができる日を待ちながら。

「We will meet again.」

総務省 文部科学省 : 私たちが拓く日本の未来 有権者として求められる力を身に付けるために より引用

参考文献:ブレイディみかこ「幸せって何だろう」Vol.33 『会うよろこび』JAF MATE 第58巻 第7号2020,8/9月号 5p

 

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